バイト退職でワンチャン狙いたいって話をすごく長く書いた
どこもかしこも人工的な光に囲まれたまま唯一生身の人間たちがぐるぐると迂回している。
わたしは水族館のギラギラと群れて舞うイワシを思い出す。
イワシ。
魚、高いんだよな。
生身の方々は忙しく、張り付いた顔で関節をフル活用して客、という生身に張り付いては離れて、張り付いては離れて。
そんなこんなを見ているわたし。
わたしは一体なんなの。
スチールの眼鏡をかけた猫背の社員を視線から逃さない。走ったり首をカクカクさせたり、パソコンをカタカタさせたり、ふと目が合うと黒目が真っ黒なのだ。一点の光もない。真っ黒な丸い目が眼鏡を通して何も読み取れない。黒い画用紙を丸く切って貼り付けたみたい。
くっ。
人差し指を折り曲げて眼鏡をあげる系。
片手全部を使って眼鏡をあげる系もたまらない。
人差し指と親指で持ち上げるように眼鏡を上げる系も捨てられない。
眼鏡は奥深い。
あれ、何言ってるんだっけ。
マスクをして眼鏡をしたその人物を視線から逃さない。逃がさない。なぜか、どうしても。
なにもかも事務的で感情を失ってしまったロボットみたい。A.I.を見て死ぬほど泣いた記憶を辿って哀愁を感じて、わたしが命を吹き込みたい。わたしが、ほかでもなく、わたしが。
とんだポエっちゃってポエっちゃってもう嫌だ。また何度目かの無職が近づいていて少しおセンチになったり突然叫び出したくなったり、情緒が赤ちゃん。いや、赤ちゃんのほうが下手したら安定しているかもしれない。
つまり、退職するバイト先の社員に爪痕を残したい。言ってしまった。こんなにポエってたのに。一行で終わることをこんなにポエっちまった。
妄想は無料無法。